【あらすじ】
20ドル紙幣に埋もれた男の射殺体が発見された。男の名前はノア・ヒューブリー。現場となった彼の自宅の壁にはいたるところに聖書やコーランなどの引用が書き込まれていた。さらに庭にはノアの方舟を模した巨大な舟があり、中にはさまざまな動物と4組の夫婦が乗っていた。彼らは皆、この週末に世界が終わると信じており、ノアに多額の方舟建設費用を支払っていた。ノアはカルトの教祖だったのか、それとも詐欺師だったのか。喫煙の有害性を訴えるため、タバコの着ぐるみを着て活動を行っていた男の死体が見つかる。検視の結果、男は度重なる喫煙が原因で軽い肺気腫を患っていたことが判明する。ヘビースモーカーがなぜタバコ会社を批判したのか。
2008年4月27日執筆。放送順になるよう再投稿。
☆ネタバレ感想は続きをどうぞ☆
◆ノア・ヒューブリー殺害事件◆
担当:マック、ダニー 刑事:フラック
方舟の中で発見された夫婦たちに事情を聞いたところ、誰もが心の底からノアの説く終末を信じていることが分かった。方舟建設のために夫婦1組につき10万ドルを支払っていたが、誰も騙されたとは思っていなかった。だが、彼の自宅の留守番電話には、怒った女性からの電話がひっきりなしにかかってきていた。検死の結果、ノアの身体には手術道具がおき忘れられていることが判明する。胃のバイパス手術を行った際に医者が誤って残してしまったものらしい。身体に創世記に関係する田トゥーを入れていることが分かる。彼の自宅からは、方舟に乗って終末を生き延びようと訴えるDVDが多数見つかった。
壁に書かれた文言を見ただけで、聖書、コーラン、ノストラダムス、と引用元を指摘するマック。頭がいい人だとは思っていましたが本当に凄い記憶力です。モルグのシーンでも、手首のタトゥー「7−10」という数字を見て、創世記の該当箇所をすらすらと暗唱していました。
◆第1の容疑者:ディマルティーノ◆
留守電の女、ディマルティーノはノアに10万ドルを騙し取られていた。留守番電話は返金の催促だったのだ。取調べをしたフラックは、留守電の最後のメッセージが「今からそっちに行く」だったこと、ノアが殺される2時間前に電話が止んだことから、被害者に会いに行ったのではないかと追求する。だが、ディマルティーノはついカッとなって言ったものの、その夜は寝てしまったと供述する。
CSIブログによると、この女性のファーストネームはジャニスというらしいのですが、劇中ずっと「ディマルティーノ」と呼ばれているし、IMDbのキャスト一覧にも"Miss Di Martino"と表記されていました。一体どこでジャニスという名前が出てきたんでしょう。字幕版もよく見てみたいと思います。
◆被害者の本当の顔◆
ノアの本名はパトリック・デントで、ありとあらゆる詐欺を行っていた。1年前ニューオリンズで逮捕され、ニューヨーク市警に身柄を引き渡されるはずだったのだが、警官になりすました仲間が彼を引き取り警察の手を逃れていたのだ。その後、バイパス手術を受けて胃を小さくし、外見的にも別人に成りすましたのだ。
◆第2の容疑者:メロディー・コスタンザ◆
ダニーがデントの庭にあった足跡を分析した結果、ユリノキの痕跡が見つかる。マックはそれを聞き、『クイーンズ・ジャイアント(Queens Giant)』の愛称で親しまれる巨木があるアレイ・ポンド・パークを調べるよう指示する。公園で働く人間のなかにデントの詐欺の被害者、メロディー・コスタンザがいた。金を返すようデントの自宅まで行ったが、彼が世界が滅亡するという妄想に完全に取り付かれていることに気づき、引き換えしたのだという。
CSI: NYの魅力の一つは、ニューヨークの観光名所、名物について知ることができるところ。今回出てきたクイーンズ・ジャイアントはニューヨーク市で最も古い木であると同時に、最も背の高い生き物だそうです。
◆偽札◆
デントの遺体の上にぶちまけられていたのは偽札だった。指紋を分析したところ、偽札製造で服役中のイーズマンが浮上する。彼が偽札を隠した車は逮捕時に押収され、そのまま政府のオークションにかけられていた。
◆真犯人◆
薬物検査の結果、デントが細菌性心内膜炎にかかっていたことが判明する。原因は胃の手術の際に体内に放置された医療器具だと推測された。症状が悪化し、精神症状が出始めた彼は世界の終末を本気で信じるようになったのだ。フラックは、刑事になりすましてデントを引き取った共犯者について調べる。共犯者は金髪の白人女性でウォルトン刑事と名乗っていた。その際にかけた電話の料金を支払わなかったことから、銀行の取立てにあっており、そこから身元が判明する。留守番電話の女、ディマルティーノが共犯者だったのだ。
手術を受けた数ヶ月後から言動がおかしくなり始めたデント。本気で世界の終わりを信じるようになり、詐欺からは足を洗いたいといい始めた。ディマルティーノが分け前を要求したところ、騙し取った金は全部方舟につぎ込んでしまったという答えが返ってきた。しばらくしてデントが分け前を支払ったが、その金は偽札だった。騙されたと思い込んだディマルティーノはデントを射殺してしまった。イーズマンの偽札が隠された車を落札した夫婦は、これこそ神の啓示だと信じ、デントの方舟に投資することにした。だが皮肉にも、その紙幣がデントを死なせてしまったのだ。
冒頭のシーンで、札束に埋もれて死んだ被害者を見たダニーが「犯人が金目当てでなかったのは確かだ」と言っていましたが、あにはからんや、動機はお金でした。偽札なんかよこしやがって、という意味で偽札をぶちまけていたわけですね。詐欺師として悪行の限りを尽くしたあと、病気のせいで改心したデント。今まで人を騙す側だったのに、今度は彼のことを信じ、彼を信じる賛同者から偽札を渡されてしまいました。そしてその偽札が彼の命を奪うことになろうとは。
◆着ぐるみ男殺害事件◆
担当:ステラ、ホークス
着ぐるみの男は何者かに火をつけられ必死に逃げるうちに高架から転落したと考えられた。火は転落したときに消えたらしい。ステラは、炎の熱で溶けた着ぐるみのプラスチックが点々と落ちていることに気づき、それを逆に辿って最初の犯行現場に行き着く。そこは大手のタバコメーカー、ナショナル・スピリット・タバコ社の前だった。男はタバコ会社の前で嫌煙キャンペーンを行っていたらしい。現場からは、プラカード、かばん、雑誌、ドラキュラのイラストが描かれたバーのチラシ、緑色のタバコが落ちていた。
ステラはモルグで倒れているシドを発見する。食物アレルギーでアナフィラキシーショックを起したのだ。ステラはシドにエピペンを打ち、人工呼吸を施すが、そのせいでHIVをうつしてしまったのではないかと罪悪感に苛まれる。
マックがノアの検死結果を聞きにきたときから、ミートボールサンドが胃にもたれたと具合が悪そうだったシド。ところが体調不良は胃もたれのせいではありませんでした。サンドイッチの中に食べてはいけないものが入っていたのです(シドは何アレルギーなんだろう?)
◆第1の容疑者:フッカー・バーの支配人
タバコの着ぐるみを分析した結果、ヘアスプレーを吹き付けられた痕跡と、唾を吐きかけられた跡が見つかった。唾を分析した結果、タバコとクエン酸、墨が検出される。分析にあたったアダムは、現場近くに条件にあうフッカー・バーを発見していた。ステラが事情聴取をしたところ、着ぐるみ男にタバコを奪われたバーの支配人がカッとなって男を突き飛ばし、着ぐるみに唾を吐いたのだという。
◆緑のタバコ◆
現場から見つかった緑のタバコからは、被害者のDNAが検出された。嫌煙キャンペーンを行っていた男が、なぜタバコを吸っていたのか。ホークスが分析した結果、見つかったタバコはナショナル・スピリット・タバコ社の試作品「スピリット・グリーン」だということが分かる。まだ市場に出回っていないタバコをなぜ着ぐるみ男が吸っていたのか。夫に合わせて欲しいと訴える女性から、被害者の身元が明らかになる。着ぐるみ男の名前はジェイソン・ウィリアムズ。ナショナル・スピリット・タバコ社の社員で、「スピリット・グリーン」の販売促進のために嫌煙キャンペーンを行っていたのだ。ジェイソンの一件が株価に響くと考えた社は彼の死をもみ消そうとしていたのだった。
◆ヘアスプレーとかばん◆
事件現場に落ちていたかばんには、ジェイソンの着ぐるみについていたものと同じヘアスプレーの痕跡があった。かばんの持ち主、ハイジ・ペスコーによれば、2日前黒いロングコートを着た不審人物に咬みつかれ、盗まれたのだという。襲われたとき、ハイジは「プレッツェル・バーン」というドイツ料理の店で働いており、バイエルンの民族衣装を着ていた。犯人はマスコットに憎しみを抱いていたのか。彼女の首の咬み傷を分析した結果、まるでドラキュラ伯爵のような巨大な犬歯を持っていたことが判明する。
◆真犯人◆
異様な歯型と現場から見つかったチラシから、バーのマスコットとしてドラキュラ伯爵の扮装をして働く男が浮上する。彼はマスコット労働者の組合を作ろうとしていた。だが、ジェイソンとハイジは興味を示さなかったため、ハイジからかばんを盗み、ジェイソンに火をつけたのだった。タバコの着ぐるみは予想に反して大きく燃え上がり、ジェイソンは死んでしまったのだった。
ドラキュラ伯爵の名前が出てきませんでしたが、彼に役名はないのでしょうか。
ステラがマックにHIVに感染した可能性があると打ち明ける印象的なシーンから幕を開ける今回のエピソード。思わず涙ぐむステラに、彼女がいつも言っているギリシャ語の言葉を引用して励ますマック。「わたしがついている」という言葉の、なんと言う重み。その後、それぞれ別の事件を追う二人ですが、ステラのHIVを巡って何度か言葉を交わします。2人ともプロフェッショナルとして自分の仕事をするわけだけど、何か困ったことがあればいつでも支えあえる関係。2人の距離感がよく出ていてとても良かったです。マックがクレアさんを亡くして辛いときは、逆にステラがこうやって励ましてあげていたのかしらん。
マックの事件も、ステラの事件も、現場に落ちていた小さな証拠が伏線となっていてわたしは両方とも好きでした。事件としての派手さはないけど、丁寧なストーリーという印象です。シドのアナフィラキシーショックにしても、HIVにおびえるステラの気持ちと絡み合ってよいサイドストーリーだったと思います。たとえ僅かでも感染のリスクがあることを打ち明ける正直なステラと、命の恩人に感謝を捧げながら彼女を励ますシド、2人の友情が描かれていて凄くよかったと思います。
フッカー・バー:フッカー(hookah)というのは水タバコのこと。ゆっくりと時間をかけながら、何人かで回し吸いをして楽しむものだそうです。アップルやストロベリーといった甘いフレーバーをつけたものが人気なのだとか。検出されたクエン酸は、タバコに甘い香りをつけたフルーツに入っていたものだったんですね。
